18.四国粉比べ
2005年 11月 28日
さて実験のほうは、なるべく同じ条件でパンが焼けるようにするために、パン焼き器を使用し、それぞれ同じ分量の材料をセットして食パンを焼いてみました。するとドイツの食パンは13cm、ベルギーの食パン12cmの高さに膨らみ、オランダの食パンは15cmと日本の食パン15cmの高さに並ぶおもしろい結果がでたのです。ベルギーの粉が期待していたにもかかわらず見当外れに終わってしまったのは、ちょっと残念でしたが、オランダの粉が予想外にもよく膨らんだことには大変驚きました。しかもこのオランダの粉の食パンは、見た目は日本の食パンとほとんど変わりがありませんでした。ここまで膨らめばかつてない上等な出来栄えです。ところが肝心の食感はというと、やはり日本の食パンに遠く及びません。食パンを半分に切って、パンの切り口を見てみるとその違いがはっきりと見てとれます。日本の粉はなんと言ってもきめが細かいのです。それに比べて他の三国の粉は、どれもきめの粗さが非常に目立ちます。極端に言うと、ところどころに大きな穴がある感じ。これが食パンの食感を損ねている大きな原因なのでしょう。日本の食パンはかじる度においしさが増して、何もつけずにバクバクとそのまま頂けますが、キメの粗いパンは食べていくうちに飽きがきてしまい、そのままではなかなか食が進みません。四つ並んだ食パンを前にして、日本のパンのおいしさを改めて知る結果となり、またこちらの粉を使って日本のパンを100パーセント再現することはできない!という結論に達しました。
それにしても日本の食パンの白いことにはびっくりです。日ごろこちらの粉でパンを作っているせいか、久しぶりにみる日本の食パンは雪のように真っ白に感じました。食感こそ劣るヨーロッパの粉ですが、実は栄養学的に見たらこちらのほうに軍配があがるのかも知れません。
左からベルギー・ドイツ・オランダ・日本のそれぞれの国の粉で作った食パン(*日本の粉は国産物ではなく、一般の強力粉です。)