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こんにちは~♪ ドイツのデュッセルドルフでパン教室を開いています。パン好き、粉好きのmilkiekoと申します。ドイツの暮らしや食材、日ごろ感じる小さな私の想いをご紹介しています。


by milkieko2

27.カナダの粉

27.カナダの粉_e0073947_713899.jpgデュッセルドルフの某日本のパンやさんの粉はどうやらカナダ産らしい…という噂話に、以前、イギリスで日本のパンのお教室に通われていた方が、その際、スーパーでカナダの粉を買って使っていた…という話から、何故、カナダなんだろう?と考えていた矢先、日本の強力粉になる小麦の大部分は、カナダから輸入されている。ということを知って、な~るほど。粉はカナダだ!と勝手に思い込んでいた私…。そこでこの冬休みにご主人の帰省でカナダへ行っていた友人に、あこがれのカナダの粉を買って来てもらいました。なんでもこちらの粉の種類は一種類のみで、パンもスコーンもケーキもすべて同じ粉を使用するのだそう。それでも友人のご主人とお父様がパンには「これ」と選んで下さったのが、日ごろ常備している粉に比べてお値段が高いという黄色い袋のお粉でした。
そして早速、パン焼き器で食パンを焼いてみたのですが、なんと高さが、先日、日本の強力粉で作った食パンをも抜いて最高新記録の19cmを記録。この手の実験の時には粉の風味を味わうために、わざとお砂糖は入れず、バターを紅花油に変えて食パン機能をセットしますが、カナダの粉の食パンは生地のキメの荒さは目立つものの、中はふんわり、外はパリッとした食感で、パンの外側のなんとも香ばしいこと。カナダから2.5キロの重たい粉を運んで来てくれた友人に感謝しつつ、とってもおいしく頂くことができたのでした。
でも実は、カナダの粉を使って焼いたパンは、期待しつつも日本のパンとは決して同じものにはなりませんでした。そしてその理由は、カナダやアメリカの大地で育った小麦が丸ごと日本に運ばれて、日本で製粉されているという小麦の流通経路に関係があるようなのです。このことについては財団法人製粉振興会の「小麦粉のはなし」にくわしく書かれていますが、日本に運ばれた小麦は製粉業者や製麦業者の元で粉になり、一般的には加工販売業者から消費者の手に渡ります。つまり日本の白くてキメの細かなやわらかくてふわふわなパンは、日本で製粉された小麦粉が作り出すマジックだったのですね。以前の「四国粉比べ」でも感じた通り、ヨーロッパに限らず原料の小麦の品質と製粉の仕方は国や地域 によって大きく異なるのです。
そこで海外で私たちがパン作りをするうえでは、まず小麦粉の違いを理解した上で、加える材料などの配合比を変えたり、作り方を工夫するなどがおいしいパンを作るための大きなポイントとなるようです。またその土地で作られた小麦を食するということに、慣れない頃は抵抗を感じる人も多いようですが、これをその土地でしか味わえないパンの魅力に出会える大きなチャンスの時。と考えると、色々なパンを食べ比べてみることは、とても楽しい、贅沢なひと時に、きっと、変わってくるはずです。
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左がドイツの粉で作った食パンで右がカナダの粉で作った食パン。カナダの粉は日本よりヨーロッパの粉に近いようです。

by milkieko2 | 2006-01-29 07:24 | 27.カナダの粉