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こんにちは~♪ ドイツのデュッセルドルフでパン教室を開いています。パン好き、粉好きのmilkiekoと申します。ドイツの暮らしや食材、日ごろ感じる小さな私の想いをご紹介しています。


by milkieko2

60.イーストの話。~生イースト編~

前回のお話に登場したドライイーストは、実は「インスタントドライイースト」と呼ぶのが正しい呼び方です。予備発酵なしで粉に直接混ぜて使えるのですから、まさしく“インスタント”ですよね。スーパーなどで市販されている物はほとんどがこのタイプなので、一般的にもこちらを広く「ドライイースト」と呼んでいるのが現状です。

一方、本来のドライイーストは、まずはじめにぬるま湯に混ぜて予備発酵をさせてあげる必要があるため、使用前に少し手間がかかります。先日、ベルギーで買ってきた大きな粒子のドライイーストがこのタイプのものでした。知らずにそのまま使ってしまった時は、かなり出来の悪い膨らみ方で唖然としましたが、きちんと予備発酵させたものは、ちゃんと膨らんでくれたので、ほぉ~っ。危うくベルギーのドライイーストの印象が悪くなるところでしたけれど、慣れないせいかどうも使い勝手がよくありません。

ところでこれらのドライイーストには、万国共通に乳化剤という添加物が入っています。乳化剤とはお互いに混ざらないものを均一に混ざり合った状態にするためのもので、マヨネーズやアイスクリームなど身近な食品に数多く利用されています。そしてこの場合の乳化剤は、でんぷんの表面に吸着して、油脂類を均一に分散させ、パンのやわらかさを保つ働きがあるとのこと。

日ごろ、なるべく添加物を排除したいと思っている私としては、日本語表記を見てはじめて知ったこの事実に、少なからずショックを受けました。今の世の中、手軽や便利さを追求し、食もそれに頼ってしまうと、どうしても添加物を口にしなければならず、本来の自然の姿を求めれば求めるほど、実は努力と根気と忍耐が必要な時代なんですよね~。

そしてこんな私には、もちろん天然酵母を使うのが一番だとは思うのですが、いえいえもう一つ強い味方がおりました。それが生イーストです。ここドイツでは、どこのスーパーの冷蔵コーナーを訪ねても生イーストが気軽に購入できるのですから、なんと恵まれた環境なのでしょう♪ しかも一個10セント弱(約15円)という安さで、一包の内容量が42g。これを500gの粉に混ぜて使うと、大きなパンが一度にどか~んと作れちゃうんです(笑)。もちろん添加物なし。ここはぜひ、健康のためにも、大いに生イーストを使いましょうよ!

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ではドライイーストと生イーストの膨らみ具合に違いはあるのでしょうか? 実際に比較してみた写真をご覧ください。左側が生イースト、右側がドライイーストを使用したもので、それぞれ粉の分量に合わせてイーストを混ぜてから捏ねて、35度の発酵器の中で1時間弱、同時に休ませたものです。

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あきらかに左側の生イーストを使用した生地のほうが大きく膨らんでいて、見た目にもその違いがはっきりとわかりますよね。それに生イーストはパンの風味を豊かにしてくれるのも確かな事実なんです。

さてこの生イーストの使い方ですが、私は最初にボウルの中に生イーストを適当にくずし入れ、そこへ人肌に温めた水分を加えて、スプーンでよくかき混ぜます。時間がある時はここへお砂糖の半量を加えてふきんをかけて10分くらい放置しておくと、発酵力がアップします。それから粉と砂糖、塩を加え、さらにスプーンでかき混ぜて生地がだいたいひとかたまりになったところで台の上に取り出し、捏ね始めます。バターが入る場合はこの後に加えます。

お教室では300gの粉で生地を作ることが多いので、生イーストは半量を使用しますが、残ったイーストはきちんと包みなおして、さらにアルミホイルでくるみ、冷蔵庫で保管。使いかけのイーストはなるべく3日以内には使うようにしています。

と言うのもこれは生ものだから。空気が触れるとどんどん酸化して発酵力が落ちますし、購入時もなるべく新鮮なものを選んでは買って来て、すぐに冷蔵庫へ待機させます。消費期限が過ぎてしまうと、庫内で保管していてもカビがはいてきますから、忘れずに早めに使ってあげてくださいね。

ところでこんなに身近に生イーストが売られているということは、ドイツ人も家でよくパン作りをするのかな…??? と言うのがいつも疑問に思うところ。もっともケーキの生地にも発酵生地をよく使いますから、需要は多いはずなのですが、今まで買っている人を見たことがないんです。そんなわけで購入時には売り場の前で仁王立ち。消費期限チェックにはついつい熱が入ってしまいます(笑)。
by milkieko2 | 2007-02-02 05:12 | 60.イースト・生イースト編