61.私の朝ごはん ①冷蔵発酵で焼き立てパン
2007年 02月 08日
しかし自分のために準備するものは、時間と労力をなるべく最小限に押さえたいもの。されどお腹も心も満足のいくおいしいパンを毎日、食べた~い! そこで前の晩にお米をといで炊飯器にセットするのと同じ感覚で、明日の分の食卓パンも前日に準備してしまおう~、というのがお手軽冷蔵発酵パンなんです。
まずボウルに生イーストを6gくらい(約1/8個)くずし入れ、常温のミネラルウォーターを60gほど注ぎます。スプーンでかき混ぜてイーストが溶けたら、粉を100gと塩を小さじ2/3弱ほど加え、泡だて器の羽根を使って1~2分かき混ぜます。ここでは粉と水分がきちんと混ざれば良いだけのことですから、捏ねるというよりは混ぜる、といった感じでしょうか。生地もかなりベトベトした状態で、手でさわるとくっついてきますので、そのままゴムベラなどで生地をボウルの真ん中にまとめ、ラップをして翌日まで冷蔵庫で休ませます。
粉は栄養が丸ごとつまった小麦やディンケル粉の全粒粉、細かく挽いたライ麦粉をよく使いますが、もちろん色々なお粉をミックスしても毎回、違った風味を楽しむことができます。粉の種類によって、多少、お水の量は前後しますが、そのへんはあまり気にしません(笑)。
そして翌日の朝は冷蔵庫から取り出してきた生地を、すぐに軽く丸め直して平らにし、包丁で三つに切ってそのまま天板に並べます。前日にはかなりゆるめだった生地も、冷蔵庫で一晩、ゆっくりと発酵させてあげることで、翌日には打ち粉のいらない扱いやすい生地へと変身しているんです。
ただ冷蔵庫から取り出したばかりの生地は、まだ冷たくてかたいため、いきなり凝った形に成型することはできません。こんなふうに全く成型せずに分割したままの形で焼くパンをリュスティックと呼びますが、酵母や粉の風味が直に伝わってくるため、本来は天然酵母を使った生地などによく用いられています。
さて生地は二次発酵もさせずに、そのまま冷たいオーブンの中に入れて、それから温度を220度に設定し、約30分ほどかけて焼き上げます。こうしてじっくりと焼くことによって、生地の中にこもりがちなイースト臭も消え、愛着のある食べやすい形のとっても味わい深いパンが完成するんです。
もちろん、かぼちゃやひまわりの種などのトッピングやゴマ、くるみなどを生地の中に混ぜ込むなど、応用は自由自在ですが、最近は、松の実を生地の中に加えたパンが私の大のお気に入りとなっています。パンをかじった時に、噛み応えのあるしっかりとしたパン生地の間から、松の実のやわらかい食感がお口の中でプチプチっ~と広がる感じが何とも言えずクセになるおいしさなんですよ。
この松の実との出会いは、隣町にあるスウェーデンの家具と雑貨のお店「IKEA」にありました。食品売り場のインビスで「スウェーデンブロート」として売られていたのです。このパンは直径30cmほどのビックサイズでしたが、ライ麦の香りと松の実の食感に感激し、食べ始めると手と口が止りませんでした(汗)。以来、私も冷蔵発酵の生地の中に松の実やさらにそれよりも小粒の杉の実を加えるようになったのです。
右写真はIKEAの「スウェーデンブロート」 北欧では良質のライ麦を使って薄く焼き上げます。
左・松の実、右・杉の実
さてこの焼き立てのパンに、パセリ2束とセロリやトマト、レモン、バジルなどをミキサーにかけた特大のフレッシュ野菜ジュースを添えると、私の定番の朝ごはんとなります。ちょっと疲れてるなぁ~と思った時にはパンにバターをたっぷりぬって、エネルギーを充電! でも、ついつい食べ過ぎてしまわないように、パンはなるべく少ない分量で作り、いつも焼き立てを味わうように心がけています。