こんにちは~♪ ドイツのデュッセルドルフでパン教室を開いています。パン好き、粉好きのmilkiekoと申します。ドイツの暮らしや食材、日ごろ感じる小さな私の想いをご紹介しています。


by milkieko2

カテゴリ:47.パン焼き器にみるお国柄( 1 )

先日、私たち家族とともに海を渡り、10年もの長い間、我が家の食卓で大活躍をしてくれたナショナルのパン焼き器がついに使えなくなりました。モーターの寿命です。問い合わせたところ、交換すればまた使えるようになるとのこと。しかしここはドイツ。日本へ持って帰って、交換してまた持って帰る…。決して今すぐにできることではありません(泣)。

しかし困ったぞぉ~! 私はパン焼き器で家族用の全粒粉入り食パンを焼き、息子はこのパンをトーストして食べるのが好き。時にはお昼のサンドイッチやホットサンドにもなれば、パン粉はこの食パンが自家製パン粉と早変わりするため、やっぱりパン焼き器なしの生活はどうしても考えられません。

そこで以前より興味があったドイツのパン焼き器を思い切って購入してみました。
お値段は30~80ユーロ(約4500~12000円)前後と日本に比べるとかなり格安です。お釜の大小や機能など、その違いも機種によって様々でしたが、日ごろ、こちらの電化製品がイマイチ満足度に欠けることから、ここは保険をかける意味で消費者テストの品質マークが「Gut !(良い)」とシールのついたお値段が高めの75ユーロのパン焼き器をわざわざ選んで買ってみたのです。

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このパン焼き器のお釜は1.5斤用。今流行りのジャムも作れます。それにレシピの種類も豊富で、焼き色の設定やコース変更は自由自在。もちろんタイマー予約も一次発酵までの生地作りもできて、なんと自分で捏ね時間や焼き時間の組み合わせを設定できるんですよ。これはすごいぞぉ~。と意気込んで焼いたパンが… これ。わが目を疑うお粗末な出来栄えでした(泣)。

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いえ、そんな予感はあったのです。噂話にドイツのパン焼きはよく膨らまないと聞いたことがありましたから…。それでも高いパン焼き器なら…という期待感はありました。しかしその後も何度か試行錯誤を繰り返しながら、食パン作りに挑戦してみたものの、やっぱりどうしてもうまく膨らんでくれません。生地がきゅっとしまった感じで、高さはお釜より2cmも低い。時には粉もよく混ざっていないのか、外側に斑模様さえついてしまいます。息子も食パンが出来上がるたびに「また失敗?」と追い討ちをかけてくる始末。これって本当は機械が壊れているのかな??? そう不安に思った私は、メーカーに写真付きのメールを送ってみたところ、「どこが不満なの? 担当に電話で問い合わせてください」とのあっさりしたお返事。電話でドイツ語を話すことに苦手意識を感じているからメールをしたのに、これではとても解決できそうにありません(泣)。

そこでドイツ人の友人にお願いして、このパン焼き器を使ってレシピ通りのパンを試しに焼いてもらうことになりました。すると初めてパン焼き器を使ったという彼女は感激した声で、「すばらしい~、とってもおいしかったよ~。あの機械は壊れていなかった」との驚くべきコメント。しかしよくよくパンの高さや状態をくわしく聞いてみると、やっぱりお釜から2cmは低く、どっしりしたパンに焼き上がったとのこと。そして「これがドイツのパンだから」という彼女の一言に、大いに納得。まさにこれがドイツのパン…。つまり機械は典型的なドイツのパンを焼き上げる仕事をちゃんとしていたわけです。そう言えば取扱説明書の写真もどれも同じようなものばかりでした。これで日本のふわふわな食パンを作ろうということ自体、どだい無理な話だったのかもしれません(泣)。

色が濃くてどっしりとしたかたいパンを好むドイツ人。白くてふわふわのやわらかな食感を好む日本人-。その違いはパンが主食であるか否かの考え方にあるのだと思います。重たいパンは小麦の栄養もたっぷり含まれていて、腹持ちが良いのですから、当然、食事向きです。ご飯茶碗一膳分で作るおにぎりと、仮に白いふわふわの食パン一枚をおにぎりにして食べ比べをしてみるとしたら、おなかにたまるのはご飯に間違いありません。このようにパンが食事の中に占める位置や毎日の暮らしの中で培われた食の考え方がパン焼き器の機能に反映されるのはむしろ当たり前のことだったのです。

そういえば二年間ほど東京に赴任していた知り合いのドイツ人が、日本の食べ物の中で苦手だったものの一つに、ふわふわの白い食パンがありました。意外に思ってその理由を尋ねると、食感がやわらか過ぎて食べた後に気持ちが悪くなると言うのです。そして輸入食品が買えるお店へわざわざ出かけ、高いお金を出してまで、かたいライ麦パンを買って食べていたとのこと。これを聞いた時、なんだかおかしくて笑ってしまいました。だってこちらに住む日本人が、日本のパンを食べたいと思い、お値段が高いのを承知で街中にある日本のパン屋さんへ買いに出かけるのと全く同じ行動なのですからねぇ~(笑)。

日本とドイツのパン焼き器-。外見はどちらも同じようなものですが、焼き上がりのパンには大きな違いがありました。満足するかどうかはその国の人の判断にお任せすることにいたします。
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by milkieko2 | 2006-09-03 16:37 | 47.パン焼き器にみるお国柄