34.羊羹対マジパン
2006年 04月 05日
さてお抹茶には和菓子…。時々、こんなふうにドイツの人たちに日本の文化を紹介する機会がある時には、まだまだ数少ない私の和菓子レパートリーの中から、手作り和菓子を提供することがあります。今回は上新粉と蜂蜜、お水を電子レンジにかけて、赤い着色料を少量加えたピンクの大福皮に白餡を包み、その上にトースターで香ばしく焼いたくるみをちょこんとのせた「くるみ大福」を50個ほど作りました。過去にはかぼちゃの餡を包んだおまんじゅうや黒砂糖で作る黒糖カステラなどを持参したことがありますが、何を作るかはいつも思案のしどころ。それは召し上がって頂く皆さんがおいしいと感じてくれるのか、いつもドキドキしてしまうからです。
と言うのも、まだまだ和菓子はドイツ人には馴染みのないお菓子。小豆がBIOのお店で買えることは「おばあちゃんのあんこ」でご紹介した通りですが、以前、ここの店員さんに「小豆はどうやって食べるの?」と質問されたことがあります。一応、しどろもどろになりながら、お砂糖を入れて甘くして食べるとおいしいよ、と説明したのですが、わかってくれたのかどうかは疑問(笑)。そう言えば今だかつてドイツ人から小豆やあんこが好き、という声を聞いたことがありません。特に羊羹は苦手なようです。いつもは喜んで日本食を口にする私の友人でさえ、羊羹だけはダメ。「色もイヤだけど食感がもっとイヤ」と断言してくれます。和菓子が大好きな私としては、お抹茶に羊羹を頂く時が本当に至福のひと時なのに、この幸せを味わってもらえないなんて、ちょっと残念~。
ところが逆に、ドイツでよくお菓子に使われる食材のマジパン、このおいしさ?が私には理解できません。これはどうやら私だけでなく、多くの日本人の方が苦手だというお話をよく耳にします。原料はアーモンドプードルと砂糖を混ぜ合わせたものですが、色付けや形が自由自在なので、日本ではよく細工をしたものがケーキのデコレーションの上にのっていたりしますよね。こちらでは細工をしたものはもちろん、ケーキの生地に直接混ぜ込んて焼くためのマジパンも売られています。マジパンを使ったケーキやクッキーのレシピも豊富ですし、そうそう。クリスマスの時期に出回るシュトーレンの中にもマジパン入りというのがありますよ。でも残念なことに、我が家は全員がマジパンの独特の香りと食感を苦手としているので、市販のクッキーやチョコレートを買う時にも、マジパンが入っていないかどうかを必ずチェックしてしまうんです。
ドイツ人にどうして羊羹が嫌いなのか、と尋ねたら、日本人がマジパンを嫌いなのと同じことだ、と答えたというお話があります。羊羹対マジパン。これはもう、どこか共通する部分を持ち合わせた異文化対決なのかも知れません。
写真は市販のマジパンです。これをケーキやクッキーの生地に加えて焼きます。