51.土鍋で焼くグラハムブレッド
2006年 10月 05日
そこで、ふと、思いついたのです。石釜は遠赤外線効果でパンがおいしく焼けるのだから、同じ遠赤外線効果のある土鍋に入れて焼いてみたらどうだろう?…と。我が家にある中華食材店で購入した素焼きの土鍋、ひょっとしたら使えるかな?
早速、405と全粒粉を混ぜた粉を捏ねて、じっくりと一次発酵させた生地を土鍋に入れて、蓋をしたまま二次発酵させてから、少し高めの温度でそのまま焼いてみたところ、これが驚くべき新発見! 外側はパリッと中はふんわり、やわらかな、私好みのおいしいパンが焼きあがり、びっくりするほどの大成功だったのです。
しかも全粒粉を使ったパンは、時間の経過とともにどうしてもかたくなってしまうのですが、土鍋に入れて焼いたパンは、二、三日後もやわらかく、おいしさが長持ちするから不思議です。これも遠赤外線の効果かしら…ん?
それに土鍋のままテーブルにだすと、蓋をあけたらパンがでてきて、あら、びっくり!なんて演出効果も楽しめて、おいしさが二倍に膨らみます(笑)。
さてこの全粒粉を使ったパンのことを、一般に「グラハムブレッド」と呼びますが、これは小麦胚芽に含まれるビタミンや食物繊維の栄養素を逃さないよう、小麦を丸ごと粗挽きすることを考案したアメリカのお医者さん、グラハム博士の名前にちなんだもの。この発見は19世紀前半のことで、以来、全粒粉のまたの名をグラハム粉と呼ぶようになりました。小麦の胚芽や外殻(ふすま)には、ビタミンBやE、ミネラルなどが豊富に含まれているんです。これを取り除いてしまうなんて、本当はもったいないお話ですよね。
そしてもう一つ。これにかぼちゃやひまわりの種、亜麻の種、ゴマなどをたっぷりふりかけたら、さらにお味がグレードアップします。ドイツではこれらの種がパンの上面にたっぷりとついているのは当たり前。これがポリポリとしていて、それぞれに味があり、実においしいのです。もちろん、これらの栄養素も見逃せません。
例えばかぼちゃの種。この中にはカロチン、ビタミンB1、B2の他に、ミネラル類が豊富に含まれており、心身の疲労回復によく効くといわれています。母乳の出もよくなるとか。
そしてひまわりの種は太陽のエネルギーをたくさん吸収しているので、大きな生命力をもち、良質のたんぱく質、マグネシウム、カルシウム、鉄分、亜鉛、ビタミンE、B1、B6が含まれており、現代人に不足がちな栄養を補えるうえ、高血圧、心筋梗塞、卒中発作の予防効果があります。
茶色い粒々の亜麻の種は、この種から抽出される亜麻仁油が健康食品としても有名ですが、亜麻の種の約41%が不飽和性脂肪でコレステロールの低下を助けるのだそう。どれも実に素晴らしい栄養価です!
そこでこれらの種を生地の上面にのせる場合は、生地の表面にお水をぬるだけでOK~。ぬり卵なんて上品にしなくても良いんです。お水が接着剤のかわりとなって、焼き上がったあともこれらの種がパンから落ちることはありません。見た目も素朴なところが、またまた魅力的でしょう?
そんなわけで、もし土鍋でパンを焼いてみようかな…と興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「土鍋で焼くグラハムブレッド」のレシピをどうぞ参考にしてみてください。こちらにくわしい作り方を書いていますので。
ちなみに使用する土鍋ですが、そのままオーブンに入れて焼きますので、石焼きビビンバ用の土鍋などがオススメです。そしておいしいパンが焼けましたら、ぜひご一報くださいね~♪
全粒粉の代わりにライ麦を加えました。ライ麦パンが苦手な人でも食べられます。