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[ 2006-08 -28 04:30 ]

さてこのピタパン。先日、四つの生地を同時にオーブンの中で焼いた時、一つだけきれいに膨らんで、残りの生地は全く膨らまない…というかなりショックな出来事がありました。世間でも簡単に膨らむと言われているだけに…涙。
そこでリベンジです。その後、何度か試作を繰り返し、上手に膨らませるコツをまとめてみました。
まずはめん棒のかけ方。一気に力任せにぐわぁ~とかけてはいけません(笑)。真ん中から外側に向かって、そっと優しく何回かに分けて、丁寧に均等にうすく伸ばしていきます。力の入れすぎは膨らまない原因の一つになるようです。

それからオーブンを240度の高温に設定する時に、天板も同時に温め始め、生地の二次発酵に入ります。レシピによっては二次発酵はいらない、という表記が目立ちますが、最低30分は休ませてあげたほうがよく膨らみます。
そして焼く前に生地の上面に霧吹きをかけ水分を与えます。生地の表面が乾いていると伸びが悪いので、打ち粉を多めに使った時にはその粉を払った後に、霧吹きをかける。または天板に並べるときに、下になっていた面を表にして置き、反対にひっくり返すことによって、湿った面を上面にもってきてあげてもOKです。

そして材料は小麦粉、塩、砂糖、オリーブ油、イースト、水と、とってもシンプルです。私は自分用に作るときはお砂糖も省いて作ります。そして小麦粉の一部を全粒粉に代えたり、ヨーグルトを加えたりしても膨らみに影響することはありません。
そんなピタパンは実は数千年にわたって中東の人々の主食の一つでありました。
麦は紀元前8000年頃には、西アジアの「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる地域(古代オリエント文明の中心地)で栽培が行われていたと言われています。当初は粒のまま、またはお粥などにして食べていたものが、その後、麦を挽き、粉にして、それに水を加えて生地を練り、薄く伸ばして焼いて食べる平焼きパンに変わっていったとか。そして残りのパン生地を種として混ぜる発酵法を用いて、ナンやピタパンなどが作られるようになりました。
ピタパンがイタリアのピザの起源と言われているのも、ピザの原型がフォカッチャであることを考えると、姿、形から大いに納得できる説です。つまりピタパンの歴史はかなり古いということですね。そして今ではイーストを使って、主にイスラエルやレバノンといった中近東の国々で食べられています。
ちなみにピタパンを使ったトルコの食べ物に「ドナケバブー」というのがあります。ピタパンより厚い円形のパン生地を1/4にカットして、パンのポケットになった部分に、羊肉または鶏肉をじっくりと焼き、そぎ切りにしたものと、千切りにした新鮮なレタスや玉ねぎ、トマト、きゅうり、パプリカなどの豊富な野菜を一緒にはさんで、ヨーグルトソースをかけたもの。栄養的バランスも食べ応えも十分なので、ドイツ人にも人気があるようです。

写真は我が家のご用達ドナケバブー(3Euro=約450円)。近所のスーパーの近くで、以前は移動車の箱の中で営業していたのに、最近は屋根付きの小屋を建てて、テーブルやイスなども備わって広いお店になりました。そしてここの看板娘のきれいなお姉さんは、片言の日本語でとうがらしをかける時は、とうがらしを加えるか、という意味で「カライ?」と言ったり、「オハヨ~」「モッテカエル?」などと愛嬌を振りまいてくれるうえ、なんと言ってもここのケバブーが最高においしい~♪ どうやらヨーグルトソースと一緒にかける、ここだけのオリジナルスパイスの赤いソースが味の決め手となっているようです。
さて話をピタパンに戻しますが、焼き上がったピタパンの切り口の厚みに違いがでてしまうのは、オーブンの上下の温度に差があるため。そのため熱風機能を使うと良い、と聞いたことがあります。我が家は残念ながらその機能がありません。そのため温度差が影響してか、なかなか上下均等に焼くには至っておりませんが、まぁ、そこはピタパンがきれいに膨らんでくれれば良し。と唯一、妥協している点です(笑)。
それから焼き上がったピタパンを熱いうちにふきんで包んであげると乾燥を防ぎ、保温効果もあるうえ、食感がしっとり保たれるようですよ。


皆さんのピタパンもどうぞきれいに膨らみますように~♪